7月のとある日に流れた流星群。
その流星群に、久手神楽、雨宮樹、遠峰紗綾、遠峰奏のヒロインが願いを込める。
その次の日…… 久手真也と4人のヒロインは、1ヵ月前の世界にいた。
どうなっているのか訝しむ中、久遠リンネと名乗る自称女神が現れて、ここはループした世界だと告げてくる。
そして、この世界は女の子4人の願いが同時に叶い、しかもその内容が相反するものだったため、オーバーフローを起こしてこんなことになってしまったのだとか。
しかもこのループ空間は、そう何度も繰り返せないらしい。
「消しゴムと同じだよ。何度も同じ場所を消そうと擦ると、紙自体が破れちゃうでしょ。
時間が破れちゃったら、運命も狂っちゃって、最悪世界は崩壊しちゃうんだ」
リンネは言葉を続ける。
この世界から抜け出すためには、誰かの願いを叶え、かつ、みんなにそれを祝福してもらわなければいけない。
そんなの無理だと、誰もが渋い顔を浮かべるが…… だったらみんなで勝負すれば良いとリンネが提案する。
この1ヵ月間の間に真也を誘惑して、めろめろにして自分の恋人にしてしまえばいい。 それで恨みっこ無し、と。
一も二も無く、姉である神楽が賛成を表明。
そして、そんなの許さないと他のヒロインたちもその提案を受け入れる。
こうして、なし崩し的にハーレム生活を強要されることになった主人公・真也。
はたしてこんな無茶なことが上手くいくのか?
真也の長い長い1ヵ月が始まるのだった。
仔虎「……おはよう、カナ」
要「……仔虎?」
布団を剥ぐと隣で仔虎が頬を赤く染めながら優しい視線で俺を見つめていた。
女の子特有の甘い香りがふわりと舞って鼻をくすぐって来る。
仔虎「くす……何か改まって挨拶すると恥ずかしいね……? 部屋も明るいし……」
仔虎「……この子の名前、どうしよっか?」
愛おしそうに自分のお腹を撫でながら囁くような甘い声をくすぶらせる。
仔虎「あたしは、あたしたちの子どもが明るく元気にさえ育ってくれれば、それ以上は何も要らないな……」
仔虎「パパの『要』とあたしの『仔虎』から一文字ずつ取って……要仔虎? それとも、仔虎要がいいかな……?」
脳天にチョップ。
仔虎「あいたっ! いきなり乙女の頭にチョップすんなよー! せっかくいい雰囲気だったのにさー!」
要「この子の名前って、俺達の名前並べただけじゃねえか。変な名前背負わせて人生ハードモードにすんな」
要「しかもわざわざ制服着崩してまで小芝居しなくていい。要仔虎和親条約第5条、言ってみろ」
仔虎「あたし、カナに夜這いをすることを禁ず」
要「その条約に照らし合わせた被告の意見は?」
仔虎「すんません。入学式前でテンション上がってました。反省はしてません」
要「そこはとりあえず反省しとけ。あと入学式とか関係ないだろ。いつもそうじゃねえか」
仔虎「あ、あと母さんが朝御飯出来るから起こして来いって言ってた」
要「もう起きとるわ。しかも本命の用事そっちだろ」
玲緒「か、要くん! 助けてぇぇっ! トイレが! トト、トイレが急に! びゅーって、びゅーってぇっ!!」
玲緒「ふぇえぇえぇぇっ! ボク、ボク、どうしたら良いかわからなくてぇっ! 要くんっ助けてぇっ! ふえぇぇぇぇぇんっ!」
要「ちょ、え……えっ!? な、何でドア開けて……えっ! ど、どういうこと!?」
玲緒の叫び声を聞いて現場に到着すると、トイレのドアを開けたまま玲緒が泣き叫んでいた。
もちろん用を足すらしい格好のままで、足に引っかかっているパンツが眩し――じゃなくて!!
要「い、いったい何がどうした!? 玲緒はトイレのドアを開けてする派だったのか!?」
玲緒「何その派閥ー! そんなの知らないよー! そうじゃなくて、そうじゃなくてぇ! うわーん!!」
正直、これは目のやり場にかなり困る。
恋人同士だからって踏み込んでいい領域があるというか、俺たちにはまだ早いというか……!
要「そ、それで、何がどうしたんだ? まさか痔になって痛いとか……!?」
玲緒「お、女の子に何てこと言ってるのバカぁ! そんなんじゃないってばぁっ!!」
要「え……ち、違うのか?」
玲緒「違うに決まってるよぉ! ボクお尻は綺麗だもんっ。いつ要くんに求められても良いように──」
玲緒「って、違うのっ! そうじゃないのーっ!! もー要くんのバカぁ!! エッチ、ヘンタイ!!」
玲緒自身かなり焦っているようで、言ってることが妙に滅裂だ。
いやそんな玲緒も可愛いんだけどもと思う辺り俺もダメかもしれない。
玲緒「水が出続けてびゅーって! 止まるボタン押しても止まらないのー! 立ち上がるわけにもいかないし、ボクどうしたらいいのかわからなくてぇー!!」
要「ええっと、つまりはウォッシャーの故障ってことだよな? それでボタンを押しても止まらないと、それでOK?」
玲緒「いやぁぁああぁぁぁあOK! OKだから早く助けてぇぇっ! でもこっち見ないでー! でも助けてぇーっ!」
要「そんな無茶苦茶な……!」
見るなと言われてもこの状態で俺にどうしろと……。
とにかく玲緒を助けなければ。考えろ、考えるんだ俺……!
玲緒「か、要くーん! 助けてぇ……お願いだから、ボク、ボク……このままじゃヘンになっちゃよぉ……!」
玲緒「あっ! んぁっ!? びゅ、びゅーが! 何か、ズレて変なとこにっ……!」
玲緒「ひゃっ、んっ……! あっ、ここれ……! だめ、だめぇぇぇっ! 要くぅん、要くーんっ……!」
涼「どうぞ、ご主人様……その、お召し上がり下さい……」
ふわ、と不意に涼の甘い匂いが届くくらいの距離。
え……これって、その……え? このまま飲めってこと? へ? そういうものなの?
メイド喫茶の常識とか分からないけど、こんな風にメイドさんと一緒に飲み物飲むのか?
涼「ご主人様……お気に、召しませんでしょうか? もし、ご迷惑でしたら……」
要「ああいやごめん、ちょっと驚いただけだから……! 嫌なんてことないから、頂きます……」
混乱しつつも息を飲んで空いているストローに口を付ける。
さっきよりもさらに近い位置に涼の顔があって……やばい、すごいドキドキしてる。
涼「……ちゃんと、ご主人様のことを見つめ続けないと行けないのに……だめ、恥ずかしくて先輩の顔がまともに見れない……」
要「分かるけど……でも、練習ならちゃんとこっち見ないとダメなんだろ?」
涼「うん、でも……もし、もしもだよ……?」
涼「先輩が、口に含んだドリンクをこの中に戻してたらと思うと……ドキドキして、心臓が爆発しそうになる……」
要「そんなことするか! ってか、そんなこと考えなくていいから!」
バカなことを言う涼を否定するように一気にグラスの中身を吸い上げる。
要「……ん、何だこれ、美味い……! 青いから何かと思ったけど、柑橘系の甘さがあって口当たりが爽やかで飲みやすい……」
涼「私は料理とか出来ないから、今日まで一生懸命練習した甲斐があった。先輩が喜んでくれて、すごく嬉しい」
要「そうか。頑張ってくれたんだな」
涼「うん、頑張った。先輩に飲んでもらうんだから一番良い出来のものを持って来たくて。だからもっと褒めて欲しい」
真桜「ぬにににっ……! あとちょっと……あとちょっと……! 頑張れ、頑張れわたし……!!」
要「……上の方の本棚にある本を取りたいみたいだけど……あれはどう見ても危ないだろ」
脚立の一番上に立ってあの体勢じゃ明らかに不安定極まりない。
しかも周りに誰かいたら、あんな体勢じゃスカートの中見えるだろうに。
うちの制服を来てるってことはうちの学院の子みたいだけど、脚立の上であんな風につま先立ちしてたら――
真桜「わっ!? わ、わ、わ……! わぁっ、ちょ、えぇっ!?」
真桜「あ、ちょ、ちょっと……!? こ、ここ、こここれってもしかして……! ぜ、ぜぜ、絶体絶命的なっ……!?」
真桜「ひゃあ!? やっ、とっとととぉっ!? わ、わわわっ、うっわわわわわぁっ……!?」
要「ちょ、ちょっと! 危ないっ!!」
思わず書店に駆け込んで脚立に手を掛ける。
要「はぁ……はぁ……ぎりぎり間に合ったか……はぁ、良かった……」
真桜「え? あ、もしかしてキミが押さえてくれたのですか? そっか、それで揺れが止まったんだねー!」
真桜「ありがとー! もう少しで脚立から落っこちて、潰れたトマトみたいになっちゃうところだったよー! 本当にありがとなのです!」
要「あ、いや。無事だったらそれでいいんですけど……」
真桜「うんうん! この通りわたしは無事も無事! お陰さまでビンビンなのですよー!」
要「はぁ、それを言うならピンピンじゃないかと……」
こんな状況にも関わらず、ものすごく人懐っこい子だな……。
って言うか、いくら緊急事態で仕方なかったとは言え、女の子のパンツが目の前にあるのは気まずい。気まずすぎる。
いやむしろこの子は気付いてない……わけないよな、この位置関係で。
真桜「んん? そんなに目を逸らしてどうしたのですか? もしかして対人恐怖症?」
要「いえ、全くそういうことではなくてですね」
真桜「大丈夫だよ? わたしは全然人見知りしないのです。そんなに怖がらないでいいからね?」
真桜「さっきみたいに、ササッとカッコ良く助けたりしてくれるのに可愛いーね♪ でもお話する時はちゃんと相手の顔を見ないとだよ?」
要「いや怖がってるわけでも人見知りしてるわけでもないんで」
この子、何かテンポが人と違って調子狂うな……これがいわゆる天然さんか。
周りにいないタイプ過ぎていまいちリズムが掴めない。
要「あの、とりあえずまた転びそうになる前に降りた方がいいんじゃないかと」
真桜「うん、そうだね。わたしもそれがいいと思うのです。でもまだ欲しい本が取れてないから、ちょっと待ってね?」
要「え? ちょっと待っててって?」
真桜「あぁ、この透き通ったダシとお醤油の効いたスープ、絶妙な硬さの中太縮れ麺、それを彩る具材たち……」
真桜「この純白の丼も、白百合のようなれんげも、お箸までもが美しい……」
真桜「ああ……ラーメン、ラーメンはなんて至高の逸品なのですか……!」
いや、丼とれんげと箸はラーメン関係ないと思うけど。
真桜「いざ、この至福の時へとレッツダイブなのです……いただきまーす♪ ぱく」
真桜「ちゅるちゅるちゅるちゅる」
真桜「もぐもぐもぐもぐもぐ」
真桜「…………」
真桜「味の玉手箱じゃあー!」
要「真桜先輩がどこぞのグルメレポーターみたいになってるな」
しかも玉手箱って微妙に何かが違う。
真桜「いけないいけない。ついつい感動のあまり食事中に喜びを叫んでしまったのですよ~」
真桜「はぁ~でも幸せなのです、これが幸せというものなのですよ~♪」
真桜「おっと、せっかくのラーメンが伸びてしまったら元も子もないのです。もう一口続けて行っちゃうのですよ~」
真桜「ひょい」
真桜「ちゅるちゅるちゅるちゅる」
真桜「もぐもぐもぐもぐもぐ」
真桜「…………」
真桜「味の宝箱じゃあー!!」
要「惜しい、宝箱は近かったなー」
もう少しスケールが小さい感じになってれば正解。
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Author:山椒魚
日本最大の両生類で地味に凄いやつ。
天然記念物なので捕まえちゃダメだぞ!
画像はふくみみさんから頂きました!
来年成人式を迎える花の女子大生!
よく人からベッキーに似てるって言われるんだぁ~。
紹介されてたゲーム買ったら面白かったよー。
という意見を下さるとやる気が出ます。
紹介されてたゲーム買ったけどクソだったぞ!
という苦情も受け付けます。
聞くだけで何もしないけど。
自分が紹介したエロゲを誰かが買う。
そんな事に、幸せを感じるんだ。
基本的にほーがんびーき。
新規やあまり有名じゃないメーカーどころを紹介します。
大手メーカーの情報が欲しい人は違うサイト見た方がいいぞ!